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家の間取りを考える時に直面する空間認識能力のテーマ

家を建てる時、最初に考えること

「どんな家を作ろうか」
家族で新たなマイホームを考えるとき、最初に考えることは何でしょうか?

土地のこと?いえいえ、建てたい家が収まる土地の大きさを把握しないと始まりません。
お金のこと?どんな家の大きさになるか決まらないとおよその値段もわからない。

そう。正解は間取りのことです。
もちろん細かな間取りの話ではありません。ここでいう間取りというのは、「子ども部屋〇室欲しいかなぁ。」「寝室は〇帖あるといいよね。」というような漠然としたもののこと。そのことを家族で話し合うことから始まります。

空間認識能力

しかし、ここで少し気を付けなければならないことがあります。
それが今日のテーマ。<空間認識能力>について。
間取りの話をするとき、この空間認識能力について少し頭に入れておかないとやきもきすることがあります。

今日のテーマは男女差についても少し触れるため多少デリケートなテーマとはなりますが、面白い論文を見つけたのでそちらを通して少しお話してみようと思います。

皆様初めまして。茨木市で自然素材の注文住宅を建てる工務店
エッグ住まいる工房 竹澤貫 と申します。

空間認識能力って何?

空間認識能力(くうかんにんしきのうりょく)とは、物の位置や方向、大きさ・カタチ・幅など、物体の状態や位置関係を、すばやく正確に把握、認識する能力のことを指します。
(wikipediaより)
そんな空間認識能力が高いとどんな力が発揮されるか?というと、
①飛んでくるボールをキャッチする
②立体を回しても元のカタチを想像することができる
③写真やイラストを立体的に見る・書くことができる
④地図から立体的な姿をイメージできる
こんな力です。

間取りと空間認識能力

さて、家を作る間取り打合せにおいて、この空間認識能力は深い関係があります。ちょうど上記の②や③の能力の有無によって、書かれた平面図をどれだけリアルに想像できるか?ということに差が生まれるということです。
そんな空間認識能力ですが、その力にはかなり個人差があります。
平面の間取り図を見ただけで室内の広さや窓から入る光、テーブルの圧迫感などかなりリアルに想像することのできる方もいれば、3Dで作られたパースと呼ばれる物を見てもなおイメージに中々苦労する方もいます。

空間認識能力の男女差

先の見出しの中で個人差があると表現をしたこの空間認識能力。これはあくまで統計的なものではありますが、この空間認識能力について、男性の方が秀でていて、女性の方が苦手とする傾向にあることは古くから取られてきた研究データで明らかになっています。
つまり
男性の方が間取りを見て室内をイメージするのが得意なことが多い。
女性の方が間取りや3Dパースだけではイメージできない場合がある。
ということです。

女性の方が空間認識能力が低い?

このジェンダーレスの時代で誤解を恐れずこのテーマで記事を書いたわけですが、この空間認識能力の差についての見解はその後発展していて、とても重要なことが研究で明らかになっています。
それは、女性が生まれつき空間認識能力が低い脳の構造をしているのではなく、生活環境や幼少期から取り組んできたものによって空間認識能力が発達しにくかっただけ。ということ

幼いころから外で走り回り、ボールを投げ・受け止める。身体を使うことの多い男の子は、自然とこの空間認識能力を育みやすいのだそうです。そのことから、男性・女性。男の子、女の子の生活スタイルが明確にパキっと分かれている国になればなるほど、この空間認識能力の差が顕著になるそうです。面白い。

空間認識能力はゲームをプレイすることで育つのか

今回このテーマを取り上げようと思ったきっかけの一つが、こちらの立命館大学の学生が書かれた研究論文を偶然読んだことでした。タイトルは『ゲームプレイによる行動および認知の変容についての実証研究〜空間認識能力の向上を中心として〜』というもの
この論文の結論としては、実際におこなったテストの結果「あんまり効果わからなかった」になってますが、同様のテーマで過去研究を行ったよりサンプル数の多い研究者の論文を参照すると「空間認識能力が高くなる」と結論付けされていました。
男の子の方がゲームする。女の子の方がゲームしない。ということも影響あるのかもしれません。
で、この学生が行った実験が
「ゲームの中で車を運転させて何回壁にぶつかったか集計した」というもの。
着眼点が面白い。けどこれゲームという物への慣れが考慮されて無さそうなのでデータとしては弱そうですけどもね。ぶつかった回数数えてた学生さん可愛い。

間取りを考える時に配慮したいこと

この記事を書くきっかけについてお話させて頂いたところで今日の結論です。それは、
ご夫婦、ご家族で間取りの話をするとき自分と同じ景色が見えてると思わないようにしましょう。
それが今日の僕の結論です。

男女間で性差があることや、その理由というのはおまけのようなもので、この空間認識能力についてはご主人様側が苦手で奥様が得意なケースももちろんあります。
そして、そこで大切なことは「自分が脳内でイメージできているものと同じものが相手には見えていないかもしれない」と考えて頂きたいわけです。

「キッチンがここにあるならソファまである程度距離があるから広く感じそうだよね」
「え?ソファってこの絵だよね。これ広いの?」
「どう見ても広いじゃん!」

かなり極端な書き方をしましたが、こうしたことが起こりえます。そして、これは3Dパースというものを見てもあまり伝わらない場合があるということです。

ご家族でギャップのないように

私たちはお客様のお住まいを作る際、ご家族間のギャップというものにとても敏感です。空間認識能力が高い片方がいる。すると打合せをするとついスルスルと打合せが進んでしまうもの。ですが、当然一緒にお住まいになる奥様がどこまでイメージが追い付いているか、理想に近いものとなっているかと一旦ブレーキを踏むこともしばしばあります。
お住まいづくりは私たちとお客様のコミュニケーション。そしてお客様ご家族同士のコミュニケーション無くしていい住まいづくりとはなりません。

「なるほど~そういうもんなんだなぁ」と知って打合せをするのと、知らずに進めるのとでは打合せのスムーズさが変わると思うので心に留めていただけたらなと思っております。

この記事を書いた人   

竹澤 貫 TAKEZAWA KAN
エッグ住まいる工房 取締役副社長/営業・広報担当
大手ハウスメーカー、中規模ビルダーの営業経験を経て、エッグ住まいる工房で「笑顔を作る住まいづくり」についてお客様に発信をし続けている。
パソコン・Web関係に強く、Instagramの公式アカウントでは毎週金曜日に失敗しない住宅計画についてライブ配信を行っている。