注文住宅で施主手配、施主持込みの大変さ、危険性を知ろう
注文住宅で新築を建てるとき、誰しもが考えるのは「少しでも安く予算を抑えたい」ということ。至って普通のことです。お打合せでどうすれば欲しい物を残して、そして予算を上げずに済むか。むしろ予算を下げることができるか。そんな中たくさんお問い合わせを受ける「施主手配」「施主持込み」について、今日は少し説明をしてみようと思います。
今日はエッグ住まいる工房 竹澤貫 がお届けいたします。
コンテンツ
施主手配ってなに?
まず施主手配ということばについて少し説明。
新築注文住宅を建てるときは、本当にたくさんの材料を使い、たくさんの職人が工事をします。施主手配というのはこの材料の注文や職人への発注を、家を建てる方、つまり施主が自ら行うこと。それが施主手配です。
施主手配 ⇔ 業者手配
この施主手配に対し、通常の手配が業者手配。ここでいう「業者」というのは私たち工務店やハウスメーカーのことを指します。
これが通常の流れ
そして
これが施主手配の場合
こうした流れとなるわけです。
念のためではありますが補足をすると、ここでの話は「全てを施主手配にする」という話ではありません。注文住宅を建てる時、その一部を施主手配とする。という話ですので誤解のなきようご注意くださいね。
注文住宅における施主手配のメリットとデメリット
さて、ここまでで施主手配と業者手配の違いはふんわり伝わったのではないでしょうか。ここからはこの施主手配に注目して「なぜ施主手配の相談が多いのか」も含め、メリット・デメリットの話をしていきましょう
施主手配のメリット
◎費用が抑えられる
施主手配の相談が多い最も大きな理由はまぎれもなくこれです。上の表を見ればより伝わりやすいかもしれませんが、工務店やハウスメーカーが間に入るとそこで行われる作業や材料の保険などのために費用が上乗せされます。しかし、この施主手配という方法を使うことで、工務店やハウスメーカーを中継しないため、そこで発生する現場経費を抑えることができるようになります。
◎知人友人に自宅の工事に関わって貰える
これもご相談をいただくことがある施主手配の理由のひとつ。例えばお友達に水道屋さんがいる、照明屋さんがいる、家具屋さんがいる。そんなお友達のお仕事になればという思いで手配をするケース。こちらの場合は施主手配をせずに工務店やハウスメーカーに「◎◎水道さんに仕事をお願いしたいので連絡を取ってもらえますか?」といって紹介だけして施主手配ではない業者手配になる場合もあります。
施主手配のデメリット
▲家の保証ができない場合がある。
例え話をしましょう。
新築注文住宅をAさんがハウスメーカーB社に頼んでいた場合。
Aさんがトイレを施主手配したとしましょう。ネット通販C社でTOTO社のトイレを購入し、取付工事はB社ではなくD社さんがおこなった場合。
その後完成した家に住み始めて1週間。トイレを使うとなんと水が漏れていることがわかりました。
さて困った。
これは誰の責任で、誰がどこまでを保証するのでしょうか
トイレ本体の初期不良が原因でTOTO社?
販売をしたC社?
取付をしたD社?
周辺の配管工事をしたB社?
それとも、注文をしたAさん?
話し合いがまとまりトイレが交換されたとしましょう。
そのことが原因で柱や梁が水浸しになっているものはどこが保証するでしょう?
「施主手配」の場合にはこうした万一のトラブルの際に全て矢面に立たなければならず、またそもそも根本的に商品の保証がされない可能性を考えなければなりません。
▲手配の手間が膨大
①現場状況に合わせて必要な備品の確認
②商品の見積り依頼 ③見積り確認・発注
④自宅または工事現場での受取り ⑤納品後の検品
⑥現場への搬入 ⑦取付業者の工事日程調整
⑧取付時の現場合わせ時対応・または立会い
⑨取付後の完了検査
私たち工務店が工事を請け負っていて、何かを家に取り付ける時にはこれだけのプロセスがかかります。
業者手配(工務店やハウスメーカー)をした場合
注文住宅で施主手配を行った場合とメリット・デメリットは本当に表裏一体だと思います。
メリットを上記の例に照らし合わせて考えると
◎不具合時全責任を工務店またはハウスメーカーが負い、全て請け負う
◎あらゆる膨大な注文・現場検査作業を請け負う
だから「請負契約」というわけですね。
そしてそれに対するデメリットは費用が発生すること。その1点です。
現実的な施主手配
さて、ご覧の通り「施主手配」は相当に大変だということは伝わったのではないでしょうか。ですが、もちろん施主手配を上手に活用する方法もあります。
それは、
①大きな工事を伴わないものを施主手配する
例
・照明器具 ・家具 ・カーテン
・タオルリングやペーパーホルダーなどの小物
②DIYとして楽しめるものを施主手配する
例
・壁の漆喰塗り ・棚の取付
③建物の工事に直接かかわらないものを施主手配する
例
・建物解体工事 ・庭の外構工事 ・建物の登記関係
こういった施主手配は上手に活用できるように、工務店やハウスメーカーの担当者と相談していきたいところです。
住宅会社はあまり施主手配をあまり「いいね」と言わない
過去に注文住宅で施主手配について問合せをして、担当者に若干渋い顔をされた経験がある方もいるのではないでしょうか。それは多くの場合「儲けが減るから」や「手間が増えるから」ではありません。
それをお客様自身で負担することのリスクや大変さをよく知っているからにほかなりません。
インターネット、SNS、Youtubeが身近になることで、私たち現代人は自分で出来なくはないことの種類がとても増えました。
料理をしたことがなくてもレシピが溢れていて
釣りをしたことがなくても必要な道具が分かり
野球をしたことがなくてもバットの振り方を動画で見れる
それは家の建て方、いや家のお得な建て方 についても同様で、「こうすればお得に家が建てられるよ」という情報を見ると「なるほど~!」となるわけです。
こうした情報収集はとても大切です。みなさん一人ひとりにとって少しでもいい家を、お得に家を建てようとすることはいいこと。
ですが、うっかりするとこうしたリスクやデメリットのことが抜け落ちてしまいがちだったりします。ぜひぜひそのあたりも踏まえて、担当者さんと相談してみるようにしてください。
この記事を書いた人
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エッグ住まいる工房 取締役副社長/営業・広報担当
大手ハウスメーカー、中規模ビルダーの営業経験を経て、エッグ住まいる工房で「笑顔を作る住まいづくり」についてお客様に発信をし続けている。
パソコン・Web関係に強く、Instagramの公式アカウントでは毎週金曜日に失敗しない住宅計画についてライブ配信を行っている。
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