高断熱・UA値について詳しくなろう

高断熱・UA値
「なんとなく知ってる」という方が増えてきた印象なこの単語
今日はそんなトレンドについて、少し詳しくなってみましょう

みなさんこんばんは
茨木市で自然素材の注文住宅を建てる工務店
エッグ住まいる工房 竹澤貫 です

新築で建物を建てる時に多くの方が通るこの
建物の断熱性能というテーマ

高気密・高断熱 UA値 C値
樹脂サッシ アルゴンガス 断熱材
グラスウール 外断熱 外皮計算


スマホで調べ
インスタを開き
Youtubeを見れば見る程出てくる見知らぬ単語の連続

そして誰もが「よくわからん」となりがちです



高断熱
それが一体何なのか?
今日はそんな建物の断熱について深掘りしてみましょう

これを読めば誰でも断熱マスター!
とまでは言いませんが・・・
自宅に求める断熱性能のものさしにはなることかと思います

高断熱ってなに?

高断熱というのは外の温度を中に伝えない
そして中の温度を外に逃がさない能力が高いこと
身近な分かりやすいものだと水筒クーラーボックス
断熱された入れ物の例です

そして、その断熱が家に採用されると何が起こるか?
夏、冷房の冷気は逃げにくくなり熱気は伝わりにくく
冬、暖房の暖気は逃げにくくなり冷気は伝わりにくくなります

住宅における「断熱しなきゃ!」という考えが浸透したのは
1979年の法改正がきっかけ
それより古い建物にはこの断熱がほとんどされていませんでした
夏室内から壁を触るとじんわり暖かかったリするのはそのせい

意外と最近始まった考え方だったりします

何のために高断熱にするの?

室内の温度を快適にするため

ですが、実はそれだけではありません

皆さんも「結露」という現象はご存じだと思います
冬の室内で窓に水滴がついていたり
麦茶の入ったコップの表面がぬれたりするこの現象

詳しいメカニズムはここでは割愛しますが
「暖かい空気の場所に冷たいものを置くと発生する」
それが結露という現象です

画像のように、もしも室内が冷えているとき
壁の中が暖かい外気に近い温度になっていたら?


壁の表面、もしくは壁の内部で結露が発生する可能性があります

これを「壁体内結露(へきたいないけつろ)」
または「壁内結露(へきないけつろ)」といい
カビ、腐り、シロアリの大きな原因になります

つまり、家の断熱というのは快適な暮らしや光熱費だけでなく
家の長持ちのためにも必要不可欠なことがお分かりいただけたかと思います

高断熱のことを考える人がハマる罠

高断熱の基礎知識を踏まえた上で
多くの方がハマる罠の話に移りましょう

それが、「窓を何にするか考える」とか
「断熱材にどれを使うか考える」
です

例えば2重ガラスの窓より3重ガラスの窓の方が高性能
これはもうなんとなくでも想像がつきますね

だから皆さん「3重ガラスの窓にしたい」になる

そして、「でも値段次第」って言う

ここまでほぼ皆さん通ります

でも、大切なことはそこではなくて
3重ガラスの窓を採用することで断熱性能がどうなるのか?
結果光熱費がどう変わるのか?
そのことをまず把握した上で窓や断熱材は選択していくものです

「UA値0.56W/㎡・Kの家を建てたい」

「ならそのためには窓を〇〇以上のもので
 断熱材を〇〇以上のものが必要ですね」

この順番です

先に窓や断熱材を選ぶと
他の素材や設備の選択肢が狭くなる恐れがあるので
まずはどんな暮らしを求めているか
ご家族にとっての適温が何℃なのか
エアコンはどの程度使うのか

それを一度おさらいすることが大切です

高断熱の目安を知ろう

高断熱についてある程度知っておくため
そのあたりのことに触れていきましょう

まずはこちらの表をどうぞ

断熱等級
HEAT20
UA値
(W/㎡-K)
室温
(外気温0℃無暖房時)
光熱費の年間削減効果
(20℃にするためにかかる費用)
等級4
H28省エネ基準
0.878℃以上基準
等級5相当
HEAT20 G1
0.5610℃以上▲34,040円
等級6
HEAT20 G2
0.4613℃以上▲45,020円
等級7
HEAT20 G3
0.2615℃以上▲66,981円

【用語説明】
◎断熱等級・HEAT20
 断熱の性能を分かりやすく目安化したもの
◎UA値(外皮平均熱貫流率)
 熱の逃げやすさ と覚えてください
 数字が低いほど逃げにくい数値です



さて、よくネットで見かける単語がようやくたくさん出てきました

これは実際に家の断熱性能を変えることで
どれだけ影響があるか?を室温や光熱費に直したものです

光熱費については僕がつくったシミュレーションなので
詳しく知りたい方は別途お問合せ頂くとして

ここでは結論だけ先にお話しすることにします
—————–
①断熱性能を上げればそれに比例して光熱費が押さえられる
②ただし、断熱性能を上げるためにかかる費用は
 等級4⇒等級5 より
 等級5⇒等級6 の方が高く
 等級6⇒等級7 は更に高くなる ということ

—————–
①は皆さんの想像の通り
これはきちんと数値通りに比例して安くなります

注意が必要なのが②
性能が上がるのに比例して高くなるわけじゃない
それがこの話を少しややこしくしています

やたら値段の高い超高性能な窓

性能を1上げると1万円 2上げると2万円
じゃあ10上げると10万円?

そう単純な話じゃないのが厄介なところ

10上げると12万円
20上げると30万円


イメージとしてはこんなふうに
上げれば上げるほど割高になる
とイメージしておくのが一番いいかもしれません

その理由は至ってシンプルです
生産量や普及率がそのまま値段の高さに直結している

真ん中ぐらいの性能になるものはめっちゃ作ってるしめっちゃ売ってる
だからその分安くなってる

超高性能な窓は採用率もそれに比べると少なく
結果コスパが悪くなってしまう
 というわけ

だからそのバランスを上手に取るのがコスパ優先の方には
オススメになるわけです

高断熱って何すればいいの?

高断熱な家にしたほうが必要なんだなぁ

まずはここまでの話で、そう思って頂けていれば何より
ではここからは断熱のために何が必要なのかについて
ポイントを3つに絞ってお話していきましょう

①壁の中に入れる断熱材
②窓(サッシ)
③断熱の工事の仕方


細かな物は他にもありますが
主にはこれら一つひとつが建物の断熱性能を決めるもの

あくまで大切なのは建物の性能
①②③の組合せです
「断熱材やサッシ何使ってるか知らないけど高性能」
断熱性能の話だけをすると究極それでもかまいません
※メンテナンス性や長持ちを考えると
 断熱材に何を使うか等はとても大切ですが
 話が複雑になるので一旦置いておきます


どんな性能で建てる家なのかは
きちんと把握するようにしてください

高断熱を家族がどこまで求めるか

ではここからは結論
「で、結局断熱性能どうしたらええの?」という話

途中でも話をしましたが、大切なのは
何のために高断熱にしたいと思っているのかということ


Case1.初期にお金がかかってでも光熱費を抑えたい
     ⇓
お金はかかるが、できるだけ性能を上げる
等級7 HEAT20 G3グレードが目標
UA値0.26以下を目指したいことを建築会社に相談する


Case2.イニシャルコストとランニングコスト
    今と未来のお金を考えて効率的に予算を抑えたい

     ⇓
HEAT20 G1 G2グレード
UA値0.56~0.46W/㎡・K
このあたりはとてもコスパは良い

と、こうなります

UA値が0.1下がることで年間の光熱費は
およそ1万円変わります

30年で30万円

じゃあ0.1下げるのにかかる費用は?

これが大事なポイント
50万円や100万円追加でかかるようなら
50年・100年かかる計算になります

めっちゃかかる

「高性能な家がいい家」
それは事実です

ですが、それはあくまで費用対効果を考えない上での話

性能を上げることと、それに付随してどれぐらい費用が変わるか
100%理解しなくて大丈夫です

ですが、話を聞いてみたいなと思う住宅会社や工務店には
聞いてみてください

ただ断熱というものを少し知ることで
皆さんの選択肢はきっと広がります

皆さんにとっていい住まいづくりができますように願っています
それではみなさん おやすみなさい

この記事を書いた人

竹澤 貫
竹澤 貫
エッグ住まいる工房 取締役副社長/営業・広報担当
大手ハウスメーカー、中規模ビルダーの営業経験を経て、エッグ住まいる工房で「笑顔を作る住まいづくり」についてお客様に発信をし続けている。
パソコン・Web関係に強く、Instagramの公式アカウントでは毎週金曜日に失敗しない住宅計画についてライブ配信を行っている。