幕板 胴見切りって何のために付けてるの?

1.幕板 胴見切り。地味だけどとても大切なアイテム

幕板 または胴見切り という部品を皆さんはご存じでしょうか?

これは実際に家を建てた方ですら、「あぁーなんか聞いたことある。」と言われるようなぐらい影の薄いアイテム。しかしながらその役割はとても大きく、家の長持ちを考えると欠かせない存在。今日はそんな幕板について、ご説明していきます。

2.幕板(まくいた)って何?

そもそも幕板って何?という疑問から先にお話しましょう。
幕板というのは、2階建ての建物で、建物の1階と2階の境目に取付する部品のことを指します。壁の色に合わせた物が使われることが多く、室内側でこの幕板が使われるのは1階と2階が繋がっている吹抜けや階段です。

3.幕板の3つの役割

▶表面の仕上げ材料が変わる時の境目の役割

1階の壁と2階の壁の色を変えたり、素材を変えたりしたい時の役割。つなぎ目部分をピシっとまっすぐ収めることができる。

▶表面の仕上げ材料のヒビや剥がれを抑える役割

これが最も大きな理由とも言えるかもしれません。建物は完成したあとも、構造材の収縮や、家の前を車が通る、強い風が吹くなどでギシギシと動きます。そしてその動きの影響を最も受けやすいのが、1階と2階のつなぎ目部分。その動きによって建物の骨組みが弱ってしまうことはありませんが、表面の仕上げ部分については別。壁紙のヒビや剥がれの原因になります。
幕板を入れることで、その緩衝材の役割を果たしてくれるわけです。

▶修繕の時の修繕範囲を少なく済ませられる役割

個人的にかなり大きいと思っているのがこの部分。
壁紙のビニールクロスやぬりかべの漆喰は、数年・数十年先を見据えると、いずれ張替え・塗り直しなどのメンテナンスをする可能性があります。
①頻繁に手に触れる階段の1階部分だけが汚れているため張替えをしたい。
②-1.その時幕板が無い場合、1階~2階まで全部の壁紙を張替えなければならない。
②-2.その時幕板がある場合、1階部分だけの張替えで済む。

インターネットで調べると「そもそもビニールクロスは日焼けもするから1階だけ張替えして2階はやらないなんてありえない」という建築士さんの声を見かけました。まあ分かる。
でも「2階部分は確かに多少日焼けしてるっぽいけど、この程度ならこのままにして張替え費用を抑えたい」という選択肢があるのと無いのは全然違うと思ってる。未来の話です。今は分からない話

4.見た目をすっきりさせるために「幕板無し」にも出来ないわけではないよ

過去ご相談を受けたこともありますが、吹き抜けにこの幕板が無いデザインを作りたいということで、デメリットやリスクをお伝えした上で採用した前例もあります。
僕たちとしては「修理の手間を減らしたいから」付けているものではなく
「お施主様の修理費用を減らしたいから」付けることを推奨しているものです。
中には案外ヒビとか入らなかったよ~という場合もあり得ますが、同様にやっぱりヒビが入ったよという場合もあり得るということです。
担当者さんとよく相談してほしいです。

5.デザイン・メンテナンス性・コスト

住まいづくりにおいて、この3点は時々相反する場合があります。
デザインを優先して、メンテナンス性が落ちることや、コストが上がること。
コストを抑えるために、デザイン性が落ちる場合があること。

大切なのは、お施主様自身がどこにどうパラメーターを振り分けて理想に近づけるかということです。
デメリットを知らないままに選んでしまって、後で後悔する。
そういうことのないように気を付けたいですね。

この記事を書いた人   

竹澤 貫 TAKEZAWA KAN
エッグ住まいる工房 取締役副社長/営業・広報担当
大手ハウスメーカー、中規模ビルダーの営業経験を経て、エッグ住まいる工房で「笑顔を作る住まいづくり」についてお客様に発信をし続けている。
パソコン・Web関係に強く、Instagramの公式アカウントでは毎週金曜日に失敗しない住宅計画についてライブ配信を行っている。