自然素材の注文住宅で使う素材を解説

自然素材の家を建てたい。近年こうしたお問い合わせ、ご相談は全国的にも多くあります。住む人達のニーズが自然素材に向けられていることがわかります。今日はそんな注文住宅で使われる自然素材について、よく使われる素材の種類の説明。そして、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

自然素材の漆喰壁
  • ▶ なぜ自然素材を選ぶのか?
  • ▶ 大手メーカーが自然素材を使わない理由
  • ▶ よく使われる自然素材3選
  • ▶ 自然素材について正しく知って正しく選ぶ

なぜ自然素材を選ぶのか?

自然素材の住宅を選ぶ方は、大きく3パターンの理由で選んでいます。

1.健康志向

自然素材の家にすることで大きく2つの健康被害の対策ができるとされています。
1つはシックハウス症候群対策。接着剤やビニールなどを減らすことで、素材から出る化学物質を抑えられます。
2つ目にアレルギー症状対策。花粉症、ぜん息、じんましん。今やアレルギー症状は国民の約5割が罹患する国民病と厚生労働省が発表しています。また、全国的にアンケートを取った結果「医師にアレルギーと診断された、またはされていないがアレルギーの自覚症状がある」と回答した数は全体の63%にも上るそうです。(引用:アレルギー疾患アンケート)
自然素材の家では、こうしたアレルギー症状の対策ができます。原因となる花粉やハウスダストをあまり吸わなくなることも大きな選択理由となります。

2.メンテナンス性

革製品の財布やクツなどは、新品の頃から年数が経ったものに対して「経年劣化」とは呼ばず「経年変化」と呼びます。これは、年数の変化によって性能や質が悪くなるわけではなく、見た目や品質が変化するためそのような呼ばれ方をしているものです。
自然素材の家では自然由来の素材を壁や床など多く使います。それらの物は朽ちることなく、長い年月の中で変化しながら質を保ち続けることができます。経年劣化して交換が必要な素材ではなく、経年変化で長く共に暮らす素材を選ぶことで、30年、50年先の交換に必要な費用。メンテナンスコストを抑えられるということです。

3.本物のデザイン

今の住居に使われている材料の多くは、もともと昔から使われてきていた素材のデザインをマネして作られているものです。木目がプリントアウトされたフローリングやマット。塗り壁の陰影を模して作ったビニールクロス。陶器の瓦のような見た目をしたコンクリート屋根。
全てコストを抑えて大量生産するための取り組みですが、質感や手触りなどにこだわる方、月日が経つことによる色の変化など、本物にこだわる方はこの自然素材を選択されます。

大手メーカーが自然素材を使わない理由

多くの注文住宅を建てる工務店で標準仕様として採用されているこの自然素材ですが、いわゆる大手ハウスメーカーと呼ばれる会社ではほとんど採用されません。その理由がいくつかあるためご紹介します。

自然素材の外観

工事期間が長い

自然素材の注文住宅を建てる工務店は多くの場合工事着工から完成引渡まで5ヵ月以上の時間がかかります。これは自然素材の工事はそもそも時間がかかることと、天候によって工期が左右されるため余裕をもった工程を設定するから起こるものです。できるだけ早いサイクルで工事をして棟数を増やす必要のある大手ハウスメーカーではとても採用しにくくなります。

品質のバラつきがあるため、きちんと説明しないとクレームになる

これは品質が「良い」「悪い」という話ではありません。たとえば無垢の床を例に挙げると、無垢の床材は色合い木目の出方節の大きさや量など同じものが存在しません。当然打合せの段階でサンプルを見て決めるわけですが、サンプルと実物の見た目が全然違うことは珍しくないです。打合せをできるだけ簡素化したい大手ハウスメーカーにとって、お客様からの問合せや「イメージと違った」と言われてしまうリスクになる素材は敬遠されます。

メンテナンスの問合せを減らしたい

自然素材の家はある程度手入れをしながら長持ちさせる。という特徴があるため、自然素材を使った工務店はメンテナンスの相談に乗ったりお手伝いに行ったりする事が多くあります。そうすることでお金を掛けずにメンテナンスをする。素材を劣化させないよう、変化を楽しみながら長持ちさせるようにします。それに対し経年劣化してしまう素材は、劣化する周期が大体10年ぐらいで訪れます。「10年もの長い間放っておくことができる」というのはメリットです。建てた会社にとっても、建てたお施主様にとってもプラスになります。こうしてメンテナンスの手間や回数を減らすことを優先していることも、自然素材を使わない理由のひとつです。

よく使われる自然素材3選

ここからは実際にお客様からのお問い合わせが多い、採用が多い自然素材について解説していきます。
その他の素材も知りたい方はこちら

1.無垢の床

自然素材の注文住宅を検討される方で、おそらくまず採用されるのがこの無垢の床だと思います。木の足触り、木の香り、1枚1枚異なる本物の木特有の表情の違い。そのどれもが多くの方を魅了しています。

※注意※

無垢の床は選ぶ樹種によってそれぞれ全く違う特徴があります。経年による色の変化、硬さ、足触りの暖かさ、冷たさ。見た目の好みで選ぶのも大切ですが、選んだ物が持つ特徴は知っておくようにしましょう。

無垢床についてのメンテナンスについてはこちら

2.漆喰や珪藻土などの室内塗り壁

無垢の床に次いでお問い合わせが多いのが塗り壁について。よく話題に上がるのは漆喰と珪藻土。珪藻土はバスマットなどのグッズとして見かけることで馴染みがあるかもしれません。この塗り壁の大きなメリットは、アレルギー物質が室内で舞わず吸いにくくなる点です。静電気を帯びるビニールクロスと違い、塗り壁は壁にハウスダストや花粉が付着しません。他にも消臭効果調湿効果など様々な特徴があるため、是非検討してみてください。

※注意※

漆喰や珪藻土についてネットの記事などで調べてみましょう。すると室内の湿気を調湿してくれる効果のことを見かけることになります。吸湿効果の高い塗り壁は、夏場のジメジメした空気はカラリと気持ちよくしてくれます。そのため、快適な室内環境に近づけることができる。しかし、乾燥しがちな冬場は湿気を吸い過ぎてしまい、室内が乾燥し過ぎてしまうという可能性があります。気管支や肌など、乾燥に敏感な方は加湿器との併用など上手に付き合うようにしましょう。

3.漆喰やそとん壁などの室外塗り壁・外壁

先のテーマが室内の塗り壁なのに対し、こちらは室外の塗り壁。外壁についてです。外壁で自然素材が採用される理由は、メンテナンス性とデザイン性。室内ではないためこちらは健康志向由来ではありません。自然素材の外壁はその他の素材と違います。工事時期が天候に左右されるためシビアになります。しかし一度塗りあげられた外壁は、繋ぎ目もなく圧巻の存在感を放ちます。表面に何かコーティングなどが施されいません。そのため、品質を保ち続けられる点はこの自然素材の大きな強みと言えるでしょう。

※注意※

「品質」保ち続けられるため、長い目でメンテナンスコストが抑えられるという大きなメリットはありますが、以下の注意点があります。
①繋ぎ目がない
②コーティングされてない
③表面には水がしみ込む
以上の特徴ゆえに、汚れやヒビが発生しやすいというデメリットがあります。あくまで見た目だけのものなので家の劣化につながるわけではありません。ただし、補修や清掃のようなメンテナンスが必要になる点は忘れずにいたいところです。

自然素材について正しく知って正しく選ぶ

自然素材の住宅素材は、建てるお施主様にとってとても大きなメリットが多くあります。しかし、費用や手入れ、10年20年後の変化など詳しく知っておくことがとても大切です。

この記事を書いた人

竹澤 貫
竹澤 貫
エッグ住まいる工房 取締役副社長/営業・広報担当
大手ハウスメーカー、中規模ビルダーの営業経験を経て、エッグ住まいる工房で「笑顔を作る住まいづくり」についてお客様に発信をし続けている。
パソコン・Web関係に強く、Instagramの公式アカウントでは毎週金曜日に失敗しない住宅計画についてライブ配信を行っている。